低用量ナルトレキソン療法について
当院では新たに「低用量ナルトレキソン療法」を開始いたします。
「低用量ナルトレキソン療法」とは
30年以上前から麻薬中毒、アルコール依存症、盗癖の治療薬として使われていた内服薬です。ただし、これらの治療薬として使われる場合、30〜50mgという高用量で投与されます。低用量の場合、10分の1以下の1.5〜4.5mgほどのナルトレキソンを使用します。
最近、がん治療に関する臨床研究結果から、少量のナルトレキソンの投与が腫瘍増殖抑制に使われ、がん細胞の成長・分裂・アポトーシス(細胞の自然死、自殺的に脱落死する現象)をコントロールする治療薬として注目されています。
<効果が期待できる部位>
膀胱がん 乳がん 卵巣がん 子宮がん 肝臓がん 結腸・直腸がん
腎細胞がん 咽頭がん 前立腺がん(無治療) 肺がん(非小細胞がん)
悪性黒色腫 多発性骨髄腫 カルチノイド 神経芽腫 神経膠芽細胞腫
リンパ球性白血病(慢性) ホジキンリンパ腫 非ホジキンリンパ腫
<副作用>
・まれに不眠や鮮明な夢をみることがあります。服用開始2週間ほどで慣れるとされてい ます。(就寝前に服用することが基本ですが、睡眠に障害がある場合は服用を朝に変更
します。)
・多発性硬化症やパーキンソン病では、一時的に症状が悪化することがありますが、そ の後改善していきます。
※がんによる痛みを抑えるためにモルヒネを使っている方は、一緒に使うことができま せん。モルヒネによる鎮痛効果を弱めてしまいます。またインターフェロンや免疫抑 制剤などとも一緒に使えません。
※低用量ナルトレキソン療法によるがん治療は、化学療法などのがん細胞を殺す治療法 ではなく、がん細胞の成長・分裂・アポトーシス(自殺メカニズム・死滅)をコント
ロールする治療法です。(つまり、がん細胞自体を攻撃する治療ではありません。)
治療法としては、基本的に1日1回就寝前に1カプセルを服用するだけになります。また、がんの標準治療(手術、抗がん剤、放射線)との併用も可能であり、当院で行っている超高濃度ビタミンC点滴療法やアルファリポ酸点滴療法と併用することにより、相乗効果も期待できます。
当院で扱うものとして、低用量である3.0mg/30錠入りを1ヵ月1ボトルとして処方いたします。